つながる本部おおさか「第三回NPO意見交換会」開催
8月31日に、つながる本部おおさか主催「第三回NPO意見交換会」を開催しました。一般社団法人ダイバーシティ研究所 代表理事の田村太郎さんを講師にお迎えし、「自治体が進めるダイバーシティの視点に立った減災について」をテーマにお話を伺い、参加議員との意見交換を実施しました。
現代の災害対策の課題として、気候変動と人口変動への対応が急務である。とりわけ人口変動への対応の遅れは、社会インフラが不安定化し、災害への対応力を縮減させるなど被害の拡大を招くことにつながる。要援護者が増加する一方で、地域の災害対応力が縮減する傾向にある今、新しい危機対応のあり方を構築する必要がある。
また、緊急の際には”多様性”という視点は後回しにされがちで、立場が弱い人ほど避難生活で困難に直面する。過去の大災害の際にも女性や高齢者の被害が顕在化し、災害関連死の半数以上が避難中または、避難所での死者であった。さらに、複雑化する避難情報により、滞日・訪日の外国人が取り残され、行き場を失う事例も多発していることから多言語支援の重要性に着目し、あらかじめ必要な情報を翻訳しておくなどの準備を進めることが急務である。外国人へ「情報」と「安心感」を届けるとともに、日本人にも外国人の存在への認識を促しておく必要があることを解説いただいた。
そして、多様な災害を想定し、多くの避難者を支えるためにも、最も脆弱な人に焦点をあて、「誰か取り残されているのではないか?」と目をこらすこと、そして学校を避難所として使うことで、子どもの教育や成長が後回しになる現状にも目を向ける必要があることなど、さまざまな災害現場で培ってこられた知見と詳細な資料をもとに解説をいただいた。
今回、お聞かせいただいたお話を各地域に持ち帰り、多様な視点を取り入れた災害対策に活かしていきます。
◾️ダイバーシティ研究所 代表理事 田村太郎さんプロフィール
阪神大震災発災直後に、外国人地震情報センターの設立に参加。その後、多文化共生センターへの改組に伴い事務局長に就任。2007年から、ダイバーシティ研究所の代表を務め、企業のダイバーシティ戦略や自治体による多様性配慮のための施策作りに携わる。東日本大震災発災時に発足した内閣官房「震災ボランティア連携室」では企画官として、当時、首相補佐官を務めた辻元清美議員と協働。2012年の復興庁設立に伴い上席政策調査官として、2014年からは、復興推進参与として官民連携や住民参加型の復興まちづくりの推進にも取り組む。